福井愛育病院院長の鈴木秀文先生(産婦人科医)に、「所詮、この世は男と女・・・・・」というタイトルで高校1年の生徒対象に講演をしていただきました。
日本では少子化が進んでいて、このまま推移すると、国の存続にかかわる緊急事態となっています。先生は、出生率と生涯未婚率のデータと、本校1年生を対象とした事前調査の結果を示して、その原因をさぐっていきました。
本校の男子・女子とも「異性に興味がない理由」は「めんどくさい」が1位でした。今は、ネットの普及等で、外に出なくても、いつでもどこでも情報が入手できます。異性への興味関心より、もっと楽しいことがあるのかもしれないし、人とのコミュニケーションをとることに「めんどう」と感じる人が増えているのかもしれません。
先生のご経験談も出て、昔は、家の電話しかなく、彼女と直接話をすることがむずかしかった。家にかけると、なぜかお父さんが出て、“時間割のことでちょっと・・・・・”とか嘘をついて、つないでもらったり。デートまでこぎつけるまでの過程が楽しくもあったんだけど、今は、なんでも親指1本で済んでしまう・・・・・という現代の問題点も。
草食男子はいまや絶食男子と言われるようになり、男子も女子も異性への興味だけでなく、人間への興味がなくなってしまう人が増えていくのではないかと心配していると。
また、結婚しない人が増えていること、女性の出産年齢の高齢化が出生率の低下をもたらしているというお話がありました。
仕事を持つ女性が増えたことはとてもいいことだけれど、仕事が充実する年齢と出産適齢期は重なっています。「今は仕事が楽しいから、30歳になってから結婚する」とか「40歳になってから子どもを作る。できなかったら、体外受精すればいい」と考えている人がいるけれど、大まちがい。年齢が上がるほど、妊娠は難しくなり、体外受精の成功率もさがるということを知っておいてほしい。
一方で、中学生や高校生が予期せぬ妊娠をして、育てられずにゴミとして捨てたり、親による虐待で、子どもを殺してしまう事件が後を絶ちません。
産婦人科では、低体重などのリスクを抱えて生まれた赤ちゃんを必死に救おうと日々奮闘しているのに、このギャップが悲しい。(日本は新生児死亡率の低さが世界でトップ!)
高校生の皆さんには、バーチャルでなく、「人」とのコミュニケーションを大事にして、その時々で、適切な性との向き合い方をして、人生を楽しんでほしい!とあたたかいメッセージをいただきました。
鈴木先生、ありがとうございました!