保護者のみなさまにお読みいただきたい養護教諭からのメッセージです

「生・性・SAY」は・・・・・性は生きることそのもの。性について語りましょう~がコンセプト。

嶺南地区の高校5校の養護教諭が、年2回「生と性」関するテーマを決め、保護者のみなさまにお届けします。

今月号のテーマは「自尊心と社会と性」です。この資料を通して、お子様と話すきっかけができればと考えています。

男子→自尊感情が高い人ほど、「将来結婚したい」「将来子どもがほしい」と考えている

女子→自尊感情が高い人ほど、「将来結婚したい」と考えているが、「将来子どもがほしい」は自尊感情の高さと関係しない

《敦賀市内A高校1年生の調査結果より》

“自尊感情”とは、「自分に満足している」「物事を人並みにはうまくやれる」等、自分自身を肯定的に捉え、大切に思う気持ちです。この他に「異性に興味がありますか?」という質問もしてみました。こちらは、男女ともに自尊感情との相関はありませんでした。

「将来結婚したい」「将来子どもがほしい」に、自尊感情の高さで差が生じるのはなぜでしょうか?

「将来結婚したくない」「将来子どもがほしくない」理由から探ってみましょう。

【結婚したくない理由】
  • 1位:面倒そう
  • 2位:無理だと思う
  • 3位:イメージがわかない
【子どもがほしくない理由】
  • 男子1位:育てるのが大変そう
  • 女子1位:育てるのが大変そう・産むのが嫌

「将来子どもがほしい」で男女に差があるのは、女子は子どもを産む性なので、妊娠から出産に至る身体的な不安は、自尊感情に関係なく持ち合わせるものだからではないでしょうか!?。

その他、男子では結婚したくない理由として、「自由に生きたい」、「将来の職業なんかでめんどうくさいことになると嫌」。子どもがほしくない理由として、男子「自由のため」、女子「赤ちゃんが人形のように見える」というものがありました。

「面倒そうだから」、「自分には無理そうだから」、「育てるのが大変そうだから」・・・・・そう、結婚は「面倒」なこともあり、ある程度「自由」も奪われます。

「自由に生きたい」なんて言われると、なんだか複雑・・・・・「育てるのが大変そう」、保護者の方に、ずいぶんと手を焼かせているのでしょうか?親の苦労をわかってくれてる?しかし、自尊感情の低さの反映だとすると、ちょっと困ったことだなと思います。そして、これは個人の問題ばかりではないのかもしれません。結婚や子どもに関する意識は社会事情に影響されます。新聞記事からその変化を見てみましょう。


バブル時代=高収入の若者~独身貴族。結婚しないことが格好いい!お金があって彼氏・彼女と楽しく暮らす

2008年調査=「結婚した方がよい」急増65%(2008年新聞の見出し)

2008年調査=
「結婚した方がよい」急増65%(2008年新聞の見出し)

2003年以降の推移で20歳代の「した方が良い」と考える人が急速に増加。理由は「精神的に安定する」、「子どもを持つことができる」、「社会的な信用が増す」。

2016年調査=20代「結婚したい」大幅減(2016年新聞の見出し)

2016年調査=
20代「結婚したい」大幅減(2016年新聞の見出し)

20代の独身男女のうち、結婚したい人の割合が3年前と比べて男性で約28ポイント、女性で約23ポイント減少した。「できるだけ早く結婚したい」、「いずれ結婚したい」の回答が男性で38.7%、女性で59%に落ち込んだ。男性が独身でいる理由は「家族を養うほどの収入がない」が最多だったのに対し、女性では「結婚したいと思える相手がいない」だった。


2008年の調査結果について家族社会学の山田昌弘氏が同紙でこんなコメントしています。(概略)

「枠からの脱却/独身への不安」

「女性は結婚しなくても、十分に幸せな人生をおくることができる」は確かに過去最高となった。

しかし、これは結婚を否定しているわけではない。「結婚した方がよい」が「結婚しなくても幸せだ」と選択肢が広がった。また、「結婚しなくても、幸せに生きていくことはできる」という“願望”の表現ではないだろうか。むしろ、「人は結婚した方がよい」と考える人が急増し、特に若者の間で大幅に増えたことに注目したい。「独身は不利だ」という意識が急速に浸透したのだろう。

かつてのバブルの時代、比較的高い収入を得ていた若者たちには、結婚しないことが格好良く思えた。お金があって、ボーイフレンド、ガールフレンドがいる。そんな暮らしを思い浮かべていたのだろう。しかし、実際に独身の人たちが中年になってみると、かつてあこがれたような生活をしているわけではない。格差社会が進み、厳しい経済状況が続く中で、若者は結婚に経済的安定を求めるようになったと言える。

「結婚のよい面」として、「子どもを持つことができる」が増えたことも、社会への不安が反映している。今の社会保障制度は、家族や子どもがいることを前提とした仕組みになっている。先行きが不透明な中、信頼できる存在として子どもがほしいとの意識が高まっているのだろう。多様な結婚の形を認めた上で、パートナーや子どもを得ることを肯定的に見る意識は、今後も強まっていくだろう。

予想に反して、実際には、結婚を肯定的に見る意識は強まっているとは言えないでしょう。

現在の若者にとって、結婚は経済的安定を得るどころか、生活破綻につながり、自由が奪われるというネガティブなシステムのようです。

自尊感情が高いと、社会情勢がどうあろうと「自分はやれる。結婚して、子どもを持ち、幸せな家庭を築く」という展望が持てるけれども、自尊感情が低い場合は、社会に向き合う自信のなさから、結婚についても悲観的になってしまうのかもしれません。

今回のA高校の調査では、男女ともに8割程度の人は結婚したい、子どもがほしい(“絶対”と“できれば”の合計)と考えていました。

今後ますます自尊感情を高めて、ポジティブに将来を思い描いてほしいものです。


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